千匹皮 ① 革にまつわる童話
「もしも再婚するなら、私と同じくらい美しく、私と同じ金髪を持つ女性でなければ嫌です。」
そう言って王妃は病で亡くなった。
しかしそのような娘は見つかられず、王は途方に暮れていた。
ある日、王は王妃にそっくりな自分の娘を見て、
「私は娘と結婚する。」
と言い出した。
娘は、
「太陽のドレス、月のドレス、星のドレス、千種の動物の毛皮のマントをくれたら結婚します。」
と父王に言った。
これだけの無理難題を言えば、父も諦めるだろうと思ったのだが、王はそれらをあっさりと作らせてしまった。
仕方なく姫は王の贈り物と金の指輪と紡ぎ車と手巻きを持って森へ逃げた。
他国の森に入り、千匹の毛皮のマントを着ていた姫は狩人に見つかり、奇妙な獣と間違えられてしまった。
城の料理番の下働きとして連れて行かれた姫は「千匹皮」と呼ばれるようになった。
つづく。
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