グリム童話「水牛の革の長靴」①
もうお払い箱となった兵士がいました。
何も手仕事を習い覚えていなかったので、親切な人たちから施しを受ける為にあちこち旅に出ていました。
ある日、兵隊が森の中で迷っていると、立派な身なりをした狩人の上着を着た男に出会いました。
兵隊が話しかけると、狩人もみちに迷っていたので、一緒に道を探すことになりました。
やがてどんどん歩いていると夜になり、明かりを一つ見つけました。
二人は家を見つけ、お腹も空いていたのですぐさま戸を叩きました。
すると中からおばぁさんが出てきました。
聞くと、ここは盗賊の棲家だから見つかったら命はないとのことです。
兵隊は中で殺されても、外で飢え死にしても同じだと言うと、気の毒になったおばぁさんは2人を暖炉の後ろに隠し、盗賊が夕食に何か残したら後でこっそりと分け与えてくれると約束しました。
しばらくすると盗賊が12人帰ってきて、焼肉のごちそうを食べはじめます。
兵隊は空腹で我慢できなくり、狩人が止めたにも関わらず、わざと咳払いをしてしまいます。
盗賊たちは2人が暖炉に隠れているのを見つけ、首吊りにするぞ。と脅しました。
兵隊は、どうせ死ぬなら腹いっぱい食べてから死にたい。と盗賊に言うと、
「なんという肝が据わったやつだ」と、盗賊の頭がおばぁさんに上等なワインを持ってこさせ、兵隊に差し出しました。
つづく
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